「オオイヌノフグリが咲き始めると、今年も草との戦いが始まるなぁって思うんですよ。」 と話すお客さまのことばを聞いて、「なるほどなぁ」と立場の違いを感じた。

冬の終わりを告げるように咲き始めるオオイヌノフグリ。

寒さが苦手な私にとっては、春の訪れを告げる待望の雑草である。 また、雑草とはいえ、薄紫の可憐な花を咲かせるオオイヌノフグリの群生を見つけると、なんだかほっこりする。

俳人の高浜虚子は 『水際まで咲き広がりし犬ふぐり』と詠んだ。 群れとなって粛々と芽吹き、地面に這いつくばるように咲き続ける頑強な生命力への感嘆か。

はたまた、時代背景的には、太平洋戦争真っただ中。

迷いもなく散ってゆく若人たちへの悼みか。

何はともあれ… わたしにとっては、待望のオオイヌノフグリであるが、お客様にとっては、草との戦いの鐘を鳴らすオオイヌノフグリだ。

さぁ、今年もオオイヌノフグリが咲いた。 我々が、草との戦いを始める農家さんたちの手となり足となる時が来た！